

気候市民会議とは
注目されている背景
私たちの生活や経済活動によって排出される温室効果ガス(二酸化炭素など)により、気候変動が深刻化しています。このため、2050年までに温室効果ガスの排出量を極限まで減らし、どうしても排出せざるを得ない分を吸収または回収・貯留することで、排出量を実質ゼロにすることが求められています。このような社会を目指すことを、一般的に「脱炭素社会へ転換する」と表現します。
今の社会を脱炭素社会へ転換していくためには、あらゆる分野での変革が必要です。そのため、市民の生活にも重い負担が生じるのではないかという不安が高まっています。このような背景から、この転換の進め方を政治や行政、専門家だけで決めてしまうのではなく、市民が主役となって話し合い、提案する「気候市民会議」が注目されているのです。
気候市民会議の特徴
✓参加者:社会の縮図をつくって話し合うことができるように、無作為に市民を選びます。関心がない市民にも参加していただけるように謝礼を用意することが一般的です。
✓進め方:複数回の会議でバランスのとれた情報提供を受け、参加者主体で「脱炭素社会への転換」の進め方を話し合います。
✓成 果:話し合われた結果を「政策提言」としてまとめ、行政に提出します。「政策提言」を受け取った行政は、効果的な政策を生み出すために活用していきます。
気候市民会議の事例
気候市民会議は、2019年ごろから英国、フランスをはじめとして様々な国、自治体、地域で開催されています。日本国内でも、2020年から各地で開催されるようになり、その数は既に30を超えています(2025年10月31日時点)。
〈参考〉
海外:KNOCA WEBサイト( https://www.knoca.eu )
国内:気候民主主義の日本における可能性と課題に関する研究 WEBサイト( https://citizensassembly.jp/project/cd_kaken/jp-list )
気候市民会議の課題
運営費の課題
これまでに日本で開催された気候市民会議では、おおむね1回あたりの時間は3~4時間、回数は3~6回、参加者数は30~50人と設定されています。また、参加者同士で話し合いをするため、参加者を5~6人ずつのグループに分け、各グループに話し合いのサポートをする「ファシリテーター」を配置することが一般的です。このため、会議を運営するためにはとても多くの人員が必要となり、おのずと運営費も多額になっています。
また、無作為抽出した市民が全員参加してくれるわけではありませんので、参加案内は、おおむね参加者定員の20倍の市民に送る必要があります。その他に、参加者への謝礼(クオカードなど)も用意する必要があります。これらの作業費や郵送費、謝礼費も用意しておく必要があります。
スケジュールの課題
自治体が何かの事業を行うためには、あらかじめ予算を確保する必要があります。一般的には、事業を計画している年度の一年前(5~6月ごろ)から、予算を確保するための準備を始めます。もちろん、気候市民会議を開催する場合にも同様です。そのため、気候市民会議の有効性に気づいてもすぐに開催できるわけではなく、実際に開催するまでには1年、場合によっては2年の期間が必要です。
主催者の課題
上の項目で書いたように、気候市民会議を開催するためには、多額な運営費を用意する必要があります。また、無作為に市民を選ぶ際、一般的には自治体が管理している住民基本台帳のデータを使用します。そのため、一般的には自治体以外の団体が気候市民会議を主催することには、とても高いハードルがあります。
当法人が目指すこと
上の項目で書いたように、気候市民会議はこれからの社会になくてはならないものだと考えています。いつでもどこでも当たり前に開催されるようになれば、市民が主役となって脱炭素社会への転換の進め方を考え、多くの市民が納得できるかたちで取り組みを進めていくことができるようになります。
一方で、開催するためには、運営費、スケジュール、主催者などの面で課題があり、誰もが簡単に開催できる状態ではないのも事実です。
そこで、当法人では、気候市民会議を誰でも開催できる金額、方法で提供し、いつでもどこでも当たり前に開催されている社会にすることを目指していきます。
新たに提案する気候市民会議
会議の準備
参加者を選出する際、これまでは、自治体が管理している住民基本台帳のデータを使用して市民を無作為抽出し、個別に参加案内を郵送する方法が一般的でした。これには、参加案内の折り加工、封筒への宛名ラベルの貼り付け、封入・封緘などの膨大な作業と、多額の郵送費が必要です。
当法人では、この作業をポスティングに代替することを模索しています。この方法では、まず膨大な作業はすべて不要になり、印刷とポスティングを担う事業者への注文のみで参加案内が完結します。ポスティングの費用は、1件当たり数円程度ですので、参加者を選出する段階でのコストは1割程度まで削減できる可能性があります。
課題は、市民の無作為抽出の公平性をどの程度確保できるのかという点です。開催する自治体から複数の地域(番地レベルなど)を無作為に抽出したうえで、そのエリアの全戸にポスティングすることを考えています。また、ポスティングを担う事業者との調整が必要ですが、そのエリア内で無作為にポスティングすることもできるかもしれません。その他、多様な属性(年代、性別、職業など)の市民をバランスよく選出するためには工夫が必要ですが、参加案内の配布数をこれまでより増やしたうえで、実際の参加者を適切に絞り込むことで解決できる可能性があります。
| これまでの方法 | 新たに提案する方法 | |
|---|---|---|
| 無作為抽出 | 住民基本台帳から 市民を無作為抽出 | 複数の地域(番地レベルなど) を無作為抽出 |
| 参加案内 | 抽出した市民に 参加案内を郵送 | 抽出した複数の地域で参加案内 をポスティング |
会議の開催
会議を開催する際、これまでは、運営事業者(コンサルティング会社など)がファシリテーターを用意することが一般的でした。そのため、運営事業者への委託費用が高額となる傾向がありました。
当法人では、できる限りその地域で活動する市民団体のメンバーにファシリテーターを務めていただきたいと考えています。これにより、委託費用が最小限となり、運営費の削減につながります。また、地域特有の環境課題も取り上げながら話し合いができる、市民団体のスキルアップにつながる、市民団体の宣伝とメンバー募集につながる、地域コミュニティを広げるきっかけになるなど、多くのメリットがあります。当法人では、ファシリテーターの経験がない方を対象にした事前研修メニューを用意しており、当日も適切なフォローをしながら会議を運営していくことができます。
その他、参加者への謝礼の支払い方法にも工夫の余地があります。1回あたりの金額を抑えつつ、すべての回に出席した参加者にボーナスとして追加の謝礼(または記念品など)をお渡しすることで、トータルコストを下げつつ、出席率を高めることができる可能性があります。
| これまでの方法 | 新たに提案する方法 | |
|---|---|---|
| ファシリテーター | 運営事業者が用意 | 地域の市民団体から選出 (事前研修あり) |
| 参加者への謝礼 | 3,000円程度×回数分 | 500円程度×回数分 +すべての回に出席した参加者にボーナス |
会議の終了後
会議の終了後は、ファシリテーターを務めた市民団体と参加者(有志)がコミュニティを形成し、様々な環境課題、地域課題に向き合いながら、より良い未来をつくっていくための活動をしていくことが理想だと考えています。
当法人では、コミュニティを形成するためのきっかけづくりやサポート、コミュニティが形成されたあとの活動のサポートなども行うことができます。
提案のまとめ ~開催に向けて~
当法人では、気候市民会議を誰でも開催できる金額、方法で提供することを目指しています。試行錯誤は必要ですが、これまでの方法と比較して、1~2割程度の予算で開催できる可能性があります。
一方で、上の項目で書いたような方法には、まだ確立されていないものも含まれています。そのため、まず2026年は実証実験の位置づけで取り組みたいと考えています。この段階では通常より安い金額でお手伝いします。また、いくつかの制約はあるものの、助成制度を使って運営費の一部をまかなうことができる場合もあります。
ご興味のある「自治体」「市民団体」「その他(どなたでも)」の方がいましたら、気軽にご依頼、ご質問をいただければと思います。もちろん、これまでの方法(通常の方法)で開催する気候市民会議もお手伝いできます。〔お問い合わせ〕
〈参考:代表理事の実績(サンプル動画)〉
世田谷版気候市民会議(2025年):第2回の様子〔0:00~〕( https://www.youtube.com/watch?v=9YLGZ1vxfYw )
日野市気候市民会議(2023年) :第2回の様子〔1:40~〕( https://www.youtube.com/watch?v=RqNUEl04buY )